ランプ制作のすすめ(アップルブロッサム)1
ステンドグラスの制作といっても色々あってステンドグラスパネルを作ったり、ランプや小物を作ったり、観葉植物をいれるテラリウムケースを作ったりと幅広くカテゴリーがあります。
私はその中でもたまに行うティファニーランプの制作が楽しみの一つだったりします。理由は余計なことを一切考えずに集中できる感じが好きといった感じでしょうか。潮干狩りを永遠と無心でやってしまう感じに似ている気がします(笑
※ティファニーランプとは、当工房ではティファニーレプリカランプを制作するためのモールド(型)が販売されているので、それを使用して自分なりにガラスの選択からアレンジまで行って作るティファニースタイルのランプシェードのことを指しています。
教室に通われる人の最終的な目標にティファニーランプを作ってみたいという方はわりといらっしゃいます。ティファニーランプといっても小さなものから大きなものまでたくさんありますが、共通して制作には時間がかかるという点が挙げられます。
こういう言い方をしてしまうと皆さん敬遠されてしまうのですが、言い方を変えるとしばらくの間余計なことを考えずに黙々と作業ができて楽しめます(笑
まあ性に合う、合わないは当然あるので一概にはいえませんがやったことがない人は一度小さめのランプ制作をやってみてはいかがでしょうかというのが今回お勧めしたいお話であります。
ティファニーランプを制作するにあたってモールド(型)は必需品です。手軽に作れるタイプではワーデンというメーカーの7インチシリーズ(直径約18cm)があります。
今回作るのはB7(ベル型7インチという意味)のアップルブロッサム(Apple Blossom)のランプシェードです。名前から分かるようにリンゴの花のランプということですね。
このアップルブロッサムの制作を通して私がどんな風に考えてどのように作業を進めているのか、言語化できる範囲でご紹介していこうと思いますので制作の参考になれば幸いです。
色決め
制作するにあたり準備を行っていきます。図面と型紙はコンビニ等でコピーをして使うことをお勧めします。
まずはデータから。
ピース数は151。構成はざっくり背景、花、葉、茎、花芯といった感じでしょうか。
上の画像でサンプルカラー(イメージカラー?)が紹介されており、そのサンプルカラーに近い色の推奨ガラスが書かれていますが、それの通りにやらないとダメとかそういうことではないです。
サンプルカラーの雰囲気が良ければ参考にすればいいので自分なりに全体のイメージをまとめていきます。どのような色合いでどんなガラスを使いたいか候補を絞っていきます。
今回の完成イメージはランプ用ガラスを使って落ち着いた感じの風合いがでればいいなといった感じです。ガラスはヤカゲニーあたりのリングモトルガラスを使っていく予定です。
ランプ用ガラスとはティファニーランプを作るために製造されている味わい深いガラスのことですが、実際はランプ制作だけではなくパネル制作にも使われています。
その中の一つとしてリングモトルというテキスチャーのガラスがあり、ガラスの表面に施された斑点模様は木洩れ日から光が差し込むような独特の陰影を生み出してくれます。
頭の中だけで色合いの整理がしにくいようでしたら型紙に色を塗ってみてもいいでしょう。型紙は図面の配置に並んでいるので色を塗れば雰囲気は掴めると思います。
色を塗っていたら表記ミスだと思う箇所を発見。花びらが葉っぱに、葉っぱが花びらという表記になっている箇所を修正。
色合いと使用するガラスを考えていきます。背景、葉はサンプルに近い感じで濃度は【背景<葉】を意識する。茎(枝?)は少し濃い目の茶色の予定でとりあえず保留。花芯は淡いイエローの予定。こちらもとりあえず保留。
りんごの花はサンプルではピンクになっていますが個人的には白いイメージが強かったので調べてみました。
確かに白い花が多いようでしたが、つぼみはピンクでも開いたら白とピンクのミックス(ほぼ白)とあったり、ピンクのお花もあったりとそんな感じでした。
じゃあどっちでもいいなということで全部白で行きたいかな?もしくはほぼ白で少しだけピンクの入ったガラスがあれば使いたいかな?とか考えつつやはり保留。
保留が多いですけど大体は決まったので型紙を色別に切り分け、モールドの準備に入ります。
モールドの準備
ワーデンのモールドは発泡スチロールに図面を貼り付けて使用します。使用するB7のモールドは図面を貼りかえると今回のアップルブロッサムだけでなく、以前紹介したフローラル等にも使えます。
コピーした図面を点線に沿って切りわけ、モールドに順番に貼っていきます。新品の発泡スチロールのモールドはなんとなく区分けされているので貼り付ける箇所は分かると思います。
私はモールドに両面テープをあらかじめ貼り付けておき、下段から積み重ねるように微調整をしつつ貼り合わせています。継ぎ目のところがおかしくなりがちなのでマジックインキで自分なりに修正を加えておきます。
※下図面がしっかりできているほうが後々の作業がやりやすいしトラブルも少ないです。ここは時間をかけて丁寧にやることをお勧めします。
型紙の写しについて
型紙をガラスに写していくのですがモールドに貼り付けた図面と型紙の形が異なっていることが多いです。ワーデン製ではないですが、がっかりするくらいひどい時もありました。
基本的に図面と型紙は合ってないものとして考えておきます。
時間もかかってしまいますが一度図面と型紙を合わせ、自分でわかるようにおかしい箇所にチェックをいれておきます。型紙が小さい箇所には+1mmとか+2mmとかガラスを大きめに切る等のマークをいれておくと精度が上がっていくかと思います。
下の画像は背景の型紙にあらかじめ入っていた流れ(矢印のマーク)が謎の方向を向いていたので赤ペンで修正したものです。
というか背景のピースの多くが変な向きだったので直しておきました。もしかしたらそれは意図したものだったのかもしれませんが解釈ができなかったので全部横の流れにしました。
背景に必要なガラスの量を調べるため型紙を置いてみました。少し余裕をもって並べていますが20×30cm程あれば大丈夫そうな感じです。
赤線のラインまでがうちの規格のコンパクトサイズガラスでの2枚分、もしくは×2サイズでの注文の1枚分となります。
丁度良いサイズです(*^-^*)b
写しはガラスの流れと型紙の流れを合わせ配置し、先ほど入れた+1㎜等のチェックを加味しつつマジックで型を取ります。写しをとったらガラスを切り分けてガラスカットをしてしていきます。