ステンドグラス材料販売、ランプ、パネル、小物、テラリウム等の制作

 W3-Stained Glass

仕上げ作業について

緑のステンドグラスランプ

ステンドグラスの仕上げ作業についての補足記事を書いていこうかと思います。

補足記事を書こうと思ったのは

『手順通りにやってもぽつぽつと白い錆が出てしまうことがある』

緑のステンドグラスランプ
クマのステンドグラス

というご質問があったためです。

これはネットに限らず生徒さんからもよく聞く質問なので私の私見も含めてお応えしていこうと思います。工房ごとに考え方も違うのでこれが正しいというわけではございませんので一例だと思って見て頂きたいと思います。

まず大前提として

はんだ作業を終えてなんの処理もしていないステンドグラスは錆びます。

さらに

屋外にステンドグラスを置いていても雨と紫外線にやられて錆びます。

湿気の多い個所に置いていたり、水をあげたりするテラリウム等はやはり錆びます。

そうです。基本的に錆びは出やすいです…。

ですのでステンドグラスにおいて錆が出ることは当たり前のことで、洗浄とワックス等で如何にして錆の発生を抑えていくかという考え方になります。

話を戻して白い錆が出てしまう事があるというご質問についてですが、このスポットの白い粉状の錆びはフラックスの残留物によるものだと私は思っています。

しっかりと中性洗剤で洗われており、ワックスもかけられていると思います。

ではなぜでてくるのか?

白い錆ははんだの端っこから出ていませんか?

推測できることは

ガラスとはんだとの境界線に当たる位置、際の箇所に洗い残しができている。

もしくは

ガラスと銅テープの間に入り込んでしまったフラックスが悪さをしていると私は考えています。

作って何ヶ月か経過してから出てきたりするので結構たちが悪いですよね…。

ただ一度出ると同じ個所からはほぼ出ないので錆出しという期間を設けることで水等に触れたり、湿気などにやられない限り錆びにくい安定期に入ります。

鏡なんかは白錆びよりも金属面の黒錆が端っこからひろがっていくこともありますよね。

ステンドグラスで作る鏡は下処理の防錆処理が命です。またお風呂場とかにある鏡はなるべく水に触れないようにする、終わったらちゃんと拭いておくなどが大事らしいです。

洗浄

ステンドグラス洗浄

はんだ作業が終了した作品に私は『しっかりと洗浄をしてください』と説明をしますが、具体的にはどうすればよいの?と思われることもあるようです。

洗浄方法はいくらでもあるのでそこから自分でできる範囲、十分だと思う洗浄方法をご自分で選択し行ってくださいという解釈にしていただければと思います。

私が行っている洗浄方法を上げると

  • スポンジに中性洗剤をつけて洗浄。
  • 不織布スポンジに中性洗剤をつけて洗浄。
  • 激落ちくんメラニンスポンジを使って洗浄。
  • スチールウールで全体を磨いた後、中性洗剤をつけて洗浄。
  • 酸性のフラックスに対してアルカリの重曹、セスキ炭酸ソーダで中和を目指しつけ置き。その後中性洗剤で洗浄。
  • 少し熱めのお湯につけおきと洗浄。
  • 洗浄後に際のところを意識してはんだ面のからぶき。
  • エタノール等を併用して洗浄。
  • ステンドグラス用クリーニング液、パーフェクトクリーナーなどを使って洗浄。

大体こんな感じです。

もちろん全部を行うわけではなく必要だと思う洗浄方法をその都度選択をしています。

小物作り等でベーシックに行っている洗浄方法は重曹やセスキで霧吹きやつけ置き、不織布スポンジかメラニンスポンジで洗浄後にからぶきあたりでしょうか。

重曹スプレー

はんだが数日に渡って行われた場合は表面に酸化膜ができていると予想されるのでここにスチールウールを足したりしています。

あくまで今は!という事なのでこっちのほうがいいかなと思ったらどんどん変えていきます。

パティーナ処理

ブラックパティーナEX

洗浄した作品はしっかりと水分を拭き取ってからパティーナ処理を行います。水分が残っていると薬品が薄まるのでパフォーマンスが落ちてしまいます。私がからぶきを取り入れてるのはこういう理由もあります。

ちなみに作品の水気を取ったタオルで磨くことを『からぶき』とはいいません(笑)。水分をしっかりとった後、カラカラのタオルで磨くことをからぶきとしております。生徒さんがよくやられるので一応!

下地ができた作品を不織布等でしっかりとこすりながら染めます。どこから染めたらいいの?という人がいますがそこまでの差はありませんが一応内側、裏側からと言っています。

で、少し大事なことですが私は不織布でこすりながら染めております。

これって洗浄に近いと思いませんか?

前から思っていたんですがパティーナ処理を行わずにワックスのみで仕上げたシルバー仕上げとパティーナ処理を行ってワックス仕上げを行った作品とではシルバー仕上げの方が錆ができやすい気がしておりました。

パティーナ処理を行った作品はワックスの油膜とは別に化学反応でできた膜でもあるのだろうかとか思っていたんですがもしかしたらこの工程でも差がついていたのかもしれないとも考えています。

話をもどしましてブラックパティーナEXやアンティークパティーナで処理をした作品は10分~30分置いたほうが色が安定しますよとしております。

が実際はぱぱっとやりたいですよね。

時短のためにティッシュ等そっとをかぶせて薬品の水分を吸い取ってください(こすらないでください)。水分がなくなってカラカラになればワックス処理に入って大丈夫です。結局10分から30分程置いてくださいっていうのは一度乾かしたかったためです。

ワックス仕上げ

ポリワックス

私はパティーナ処理を行った作品は洗わずにワックス処理をしてくださいとしております。

これはポリワックスの説明文を見ていただくと

【使用法】

パティーナ処理後、作品を洗浄せずにポリワックスを布かスポンジ等で、ハンダ及びケイム(鉛)部分に塗布してください。約1~2時間後に乾燥して薄い保護膜が残ります。

次にガラス等に付着した汚れをかるく洗浄した後、もう一度ポリワックスを塗布すると、より美しいツヤ出し効果と防錆効果が得られます。

とあるため、ポリワックスで仕上げることを想定しておりますのでこちらの使用法に沿った説明とさせていただいております。

ただこれはブラックパティーナEXやアンティークパティーナでの話ですべてのパティーナ処理がこれでよいとは思っておりません。販売はしておりませんが劇薬タイプのブラックK等は洗浄は必須だと思っています。

なぜブラックパティーナEXやアンティークパティーナは洗浄をせずにワックス処理をするのか?

これは染色力があまりつよいわけではないので色が取れやすいためです。ワックスを塗布するときも極力摩擦をうまないようにポンポンと叩くようになじませていきます。

その後2時間弱放置していただき、経過後柔らかいスポンジ等でガラス面を中心にきれいに洗います。はんだ面は強く洗うと色味が取れるので極力こすらないようにすること。

最後にもう一度ワックス塗って完成としております。

この洗浄後にワックスをかけるという作業も1回に限らず2回、3回とかけていただいても効果はあると思います。ワックスで洗うイメージですね!定期的にやっていただくことで錆対策に良いかなと思います。

まとめ

以上のような感じで私は仕上げ作業について考え取り組んでおります。

白い錆がぽつぽつと出てしまうというお方、参考になりましたでしょうか?

プレゼント用に作品を作られる方、少し早めに作られて錆出し期間(造語)を1,2か月設けてみてはいかがでしょうか?

色々書いている私が作った物も一箇所二箇所と錆が出てくることがあります。ワックスで拭き取ってあげるとすぐ取れるので(放置すると広がり取れなくなります)早めに処理をしてあげるといいですね。

また別のアプローチとしてポリワックス以外のワックスで仕上げ作業を行ってみてもいいかもしれません。

私も以前は蜜蝋のようなワックスで仕上げ作業を行っていたこともありましたが正直時間がかかっていたため現在のワックスで仕上げ作業を行っていますが、パフォーマンスでいえば以前のワックスのほうが高い気はしております。

その辺はまた仕入れる機会があれば試してみようと思います。

それでは本日は以上となります。お読みいただいてありがとうございました。